フリースクールって?費用は?
みんな行ってるの?高校受験はどうなるの?
いろいろ知りたい!
フリースクールのメリット・デメリット含め解説します!
元不登校の私の体験もお話ししますね。
- 小1~不登校。中学はほぼ行けず成績オール1
- 全日制高校→公立大学→就職→転職で公務員→現在は2児の母
- 不登校受験成功の経験から不登校向けの勉強法や受験対策を発信
フリースクールとは?
フリースクールとは、学校とは異なる方法で子どもたちの学びをサポートする新しい居場所です。
さまざまな理由から学校に通えなくなった子どもたちの学び場として近年注目を浴びており、現在では全国に500~600箇所あるとされています。
運営は自治体やNPO法人、民間団体や個人とさまざまで、子どもたち一人ひとりの個性や学習ペースを尊重し、独自のカリキュラムで教育を行っています。
フリースクールは文科省が「学校以外の学びの場」として認めている施設です。
フリースクールの特徴
フリースクールの特徴は、子どもたちの心のケアに特化し、自主性を重視している点です。
良いフリースクールでは、学校に行けないことで心に傷を負った子どもたちに寄り添い、心のエネルギーを満たしてくれるスタッフが在籍しています。
また、従来の学校のような固定的・画一的な時間割や教科書にとらわれず、子どもたち自身が学びたいことを選択できる環境が整っています。
フリースクールの6タイプ
ひとことでフリースクールといっても、活動内容は施設によって多種多様です。
ここではフリースクールを6つのタイプに分け、それぞれの特徴を解説します。
1.子どもの意思尊重タイプ
フリースクールで最も多いタイプが、子どもたち自身の「やりたい」という気持ちを最優先するタイプです。
現状はほとんどのフリースクールがこのタイプです。
スクールによりさまざまですが、基本的に固定的なカリキュラムは設けず、その日の子どもたちの興味や関心に応じて活動を決めていきます。
たとえば、学習したい子は勉強に、絵を描きたい子は美術に、なにもやりたくない子はマンガやゲーム・・・、とそれぞれが自分の好きな活動に取り組めます。
このような自由な環境で、子どもたちは自分のペースで成長できます。
ただし、スクールによってはあまりにも自由であるがゆえに、学校復帰や高校受験を目指しているご家庭には適さない場合もあります。
2.学校復帰支援タイプ
このタイプは、将来的な学校への復帰を目指す子どもたちをサポートするフリースクールです。
基本的な学習指導に加えて、集団活動への段階的な参加を促すプログラムを提供しています。
スクールカウンセラーが常駐していることも多く、心理面でのケアも充実しています。
学習面では教科書に沿った授業を行い、学校の進度に合わせた指導を心がけている点が特徴です。
3.完全個別指導タイプ
一人ひとりの学習進度や理解度に合わせて、完全にオーダーメイドの指導を行うタイプです。
少人数制や、場合によっては1対1の指導体制を取ることもあります。
学習の遅れが気になる、勉強が得意でどんどん先に進みたい、特定の教科を集中的に学びたいなど、個別に学習を支援してほしい場合に適しています。
また、発達障害をもつお子さまへの専門的なサポートを提供するスクールもあります。
4.非日常体験タイプ
体験学習を重視し、様々な活動を通じて子どもたちの成長を促すタイプです。
農業体験や自然体験、料理教室、ボランティア活動や地域貢献活動など、普段の生活では得られない経験を提供します。
これらの活動を通じて、子どもたちは実践的な知識や技能を身につけることができます。
また、さまざまな体験を通じて自己肯定感を高め、新たな興味や関心を見つけることができます。
5.専門的スキル取得タイプ
特定の分野に特化した学習を提供するフリースクールです。
プログラミングや音楽、美術など、専門的なスキルの習得を目指す子どもたちをサポートします。
将来の進路や夢を見据えた学習ができる点が特徴で、プロの講師による指導も受けられます。
子どもの得意分野や興味を伸ばしたい、中学卒業後は専門職に就いてほしいなどの場合に適しています。
6.共同生活タイプ
寮生活を通じて、生活力や社会性を育むことを重視するタイプです。
共同生活の中で、基本的な生活習慣や他者との協調性を身につけることができます。
食事の準備や掃除など、日常的な活動も学びの一環として捉え、自立心を育てていきます。
長期休暇中の短期利用プログラムを提供するスクールもあります。
「出席扱い制度」は学校長判断
フリースクールは学校ではないため、地域の中学校に籍を置きながら通うことになります。
その際、文科省が定める「出席扱い制度」を利用することで、フリースクールでの学習や行事参加を在籍校での出席と認めてもらえます。
この制度が適用されるかは、最終的には在籍校の学校長の判断で決まります。
つまり、校長先生が「不適切」だと判断しければ出席扱いになり、
出席が増えれば進学の可能性も広がります。
フリースクールの学費(月会費)
フリースクールの月会費は『フリースクール白書2022』によると
- 0~1万円 27.8%
- ~2万円 17.8%
- ~3万円 23.3%
- ~4万円 18.9%
- 4万1円~ 12.2%
となっており、文科省の調査では平均3.3万円です。
※別途、入会金や行事参加費などがかかります。
公立中学にかかる諸費用と比べると高い傾向にあります。
そのため、所得が多くない家庭への配慮として会費の減免を行っているスクールもあり、28.8%が減免、5.4%が全額免除しています1。
まだまだ行政からの支援が少なく、スクール側も財政が厳しい中なんとか運営している実情があります。
不登校のフリースクール利用率は約3%
近年注目を浴び、その数を増やしているフリースクールですが、実際の利用率は3%程度と低い水準です。
利用率が少ない背景として次のような理由があります。
- フリースクールの数が少ない
通える範囲にない・合うフリースクールがないなど - 経済的理由
月会費が高い・交通費がかかる - 心理的なハードル
親や学校や地域によるプレッシャーから、「学校に戻らなくては」と思い込んでしまう
国が学校以外の学び場の重要性を初めて認めたのが2017年。
需要はあるのに財政支援が足りず数が追いていないという課題が指摘されています。
また、「学校で学ぶことが大切」という根強い一般認識もあり、フリースクールを利用するハードルが高くなっているという事実もあります。
フリースクールに通うメリット
利用率が高いとは言えないフリースクールですが、お子さまに合うスクールがあれば通うメリットはたくさんあります。
お子さまのペースで学べる
ほとんどのフリースクールでは、少人数制で子どもの個性やペースに合わせた学習が行われます。
カリキュラムや授業の進め方も柔軟に調整できるため、学校の授業についていけなかったり、学習への不安を抱える子どもでも、無理なく学ぶことが可能です。
また、興味のある分野に集中したり、苦手分野を克服する時間が取れるため、「学ぶ楽しさ」を感じられ、自己肯定感を育めます。
安心できる居場所ができる
フリースクールでは、少人数制の落ち着いた環境で、学校生活で感じていたストレスを軽減しながら、自分のペースで過ごせます。
そのため、心理的な負担が少なく、お子さまは「安心できる居場所」を手に入れられます。
また、スタッフや他の生徒との交流を通じて、少しずつコミュニケーションスキルを高め、他者との信頼関係を築く経験も得られます。
将来に向けたサポートが受けられる
多くのフリースクールでは、進路や将来に向けたサポート体制も整っています。
高校受験の学習支援や資格取得を目指すプログラム、さらには社会で役立つスキルを学ぶ機会もあります。
また、カウンセリングや心理的サポートを提供するスクールが9割2で、フリースクール卒業後もさまざまな相談に応じてくれます。
こうしたサポートを通じて、子どもたちの将来への前向きな姿勢を育むことができます。
保護者にも繋がりができる
不登校生徒の保護者の方は孤独な戦いを強いられがちです。
お子さまの不登校で戸惑いや焦りを感じるなか、学校からは説明を求められ、周りの友達に頼ることもできませんよね。
お子さまがフリースクールに通うことで、不登校の保護者同士の繋がりや、お子さまの個性を理解してくれる専門性の高いスタッフとの繋がりが生まれます。
支援制度の情報や生活・進路等に関するアドバイス、不登校の先輩の高校受験の実例が聞けるなど、さまざまなメリットがあります。
フリースクールに通うデメリット
一方で、フリースクールにはデメリットもあります。
学習が遅れがちになる
フリースクールでは、自分のペースで勉強できるのが特徴です。
しかし、普通の中学校のように「今月はここまで」という決まりがないので、勉強が抜け落ちたり、遅れることがあります。
また、周りの子が頑張っているから自分も頑張ろう、と思える環境にはなりづらいです。
高校受験を考えている場合は、志望校合格に向けて計画的に学習を進めていけるフリースクールを選ぶ必要があります。
友だちの輪が広がりにくい
フリースクールは生徒の数が少ないので、たくさんの友だちと関わる機会が限られています。
部活動や学校行事も少ないため、同じ年頃の友だちと一緒に成長したり、みんなで何かを達成する経験が少なくなりがちです。
一方で、異年齢の子どもたちが同じ教室で勉強したり、生徒たちが話し合いで活動内容を決めるなど、普通の中学では経験できないコミュニケーションを学ぶことができます。
「友だちたくさん!」とはなりませんが、コミュニケーション能力を育む機会は豊富にあると考えて良いでしょう。
学費が高い
先述したとおり、フリースクールの月会費の全国平均は3.3万円。
決して安いとは言えない金額です。
それに加え、フリースクールは都会に集中しているため、交通費が高くつくことも多いです。
通い続けるとなると家計の負担は大きくなります。
【体験談】私がフリースクールを選ばなかった理由
ここからは少し、私の体験談をお話しします!
小学校で不登校になった私。中学校に上がるころだったか、中学卒業後の進路を考え出した母とはよく将来のことで言い合いになっていました。
学校は嫌!!高校も行かんから中学も行かん!!
高校くらい出とかんと就職できひんで!!
知り合いのお姉さん(当時高校生・Mちゃん)が不登校でフリースクールに通っており、そんな姿を見ていた私は・・・。
Mちゃんが行ってる高校(←フリースクールが高校だと思ってた)なら、誰でも行けるらしいしええねん!!
あんたは勉強も嫌いじゃないのに、行きたいときに行って遊ぶような場所でええんか!?
ママはあんたにはもっと可能性があると思う・・・!
こんなやりとりをしたのを覚えています。
Mちゃんが行っていたのは「好きなときに行ってマンガ読んで過ごす」みたいな自由すぎるフリースクールで、「ハレママちゃんなら全日制高校に行ける!」と信じていた母にとっては納得いかなかったようです。
(小学1年生から不登校だったのによくそんな風に思ったな・・・、と感じますが、結果的に母が正解。感謝しています。)
とにかくこんなやりとりを何度も繰り返し、
そりゃー私だってみんなと同じような学校行きたいワナ
と私も素直になって、学校に近いような学習ができるフリースクールを探し始めました。
そんな中、ちょうど市内に行政が運営するフリースクールが開校されると聞き、見学会に参加。
正直、「別室登校と変わらんな・・・」という印象でした
好きな勉強がガンガン進められるわけでもなく、特別ななにかがあるわけでもない・・・。新設校なのでクラスメイトがどんな雰囲気かもわからない・・・。
また、「学校でこれがしたい」という私のこだわりだった「部活」と「制服」がなかったのも、魅力を感じなかった理由の一つです。(女の子だもん☆笑)
結局入学はせず、当時は他に通えそうな場所もなかったため、家で過ごすことを続けました。
入会していたとしても、そもそも家を出ることが大きなストレスだったので、続いてなかったと思います。
そのスクールは私には合わなかったけれど、ニーズがあって今では姉妹校もできています
全日制高校進学の学習をサポートしてくれるフリースクールと出会っていれば、また違う人生があったかもしれません。
私個人としてはフリースクールにはご縁がありませんでしたが、お子さまや親御さんが「ここなら・・・!」と思えるスクールであれば、きっと良い結果に繋がると思います。
私のように家から出ることがストレス・・・というお子さまには、オンラインのフリースクールという選択肢もあります。
【卒業後の進路】高校受験はどうなる?
卒業後の選択肢は多岐にわたる
フリースクール卒業後の進路は、実は多岐にわたります。
- 高校進学(全日制・定時制・通信制)
- 高等専門学校への進学
- 専門学校への進学
- 就職(一般企業・職業訓練・起業)など
それぞれの進路に応じた準備が必要になりますが、多くのフリースクールが丁寧なサポートを提供しています。
不登校の高校進学率は85.6%
文科省の調査によると、不登校を経験した子どもの85.6%が高校進学を果たしています。
筆者自身、高校進学しました。
中学で不登校になった友達も、知っている子はみんな進学していましたよ。
フリースクールに行っていたからといって、高校進学率が極端に低かったり、その後の人生で社会的に自立できないというようなことは一切ありません。
「りっぱな」大人になっているかどうかは、見る人の尺度によって異なるでしょうが、フリースクールの卒業生は、紆余曲折ありながらも、なんとか暮らしている人たちがほとんどです。
要は、「不登校」というのは「育ち方」の一つなのです。
(不登校新聞編集長 石井志昇『フリースクールを考えたら最初に読む本』より引用)
↑このブログの参考書の一節です。まさに当事者だった私自身が感じていることなので紹介させていただきました。
全日制高校を目指すなら知っておきたいこと
体験談でMちゃんが通っていたような「自由すぎるフリースクール」は、お子さまの心のケアとエネルギーを溜める目的には合っていると思います。
ただ、全日制高校受験を考えているご家庭には適さない場合があります。
フリースクールの高校進学率は高いですが、これは通信制や定時制も含んだデータです。
※決して、自由なフリースクールや、通信制・定時制の高校がダメだというわけではありません。
全日制高校の受験を考えている場合は、
- 学習面のサポートをしっかりしてくれる
- 出席扱い制度が利用できる
このようなスクールを選ぶようにしましょう。
また、フリースクール以外の選択肢(学校復帰・オンライン学習など)も視野に入れながら、次のステップを探りましょう。
フリースクールについてもっと知りたいなら
私自身の経験から、実際に利用するかどうかは別として、不登校になったらフリースクールを一度は検討してみてほしいと感じます。
フリースクールを実際に見に行きたい・地域の情報がほしいという場合は、自治体のウェブサイトや不登校向け情報サイトを調べたり、学校の先生・スクールカウンセラーに相談してみましょう。
1回で良いところが見つかるものではないですし、もしかしたら、お子さまにはフリースクールは合わないかもしれません。
大切なのは、焦らず、お子さまと一緒に「自分たちに合った場所」を探していくこと。
母になった今わかるのは、中学生だった私は自分の人生の価値や可能性を全く理解していなかったということです。
そして、そんな私の可能性を信じて、未来の幸せを願って、ケンカしながらも粘り強く向き合って導いてくれた母のお陰で、今自分は幸せを感じて生きられています。
まとめ
フリースクールはさまざまな形で子どもたちの成長をサポートしており、現在全国に500~600箇所あります。
子どもたち一人ひとりの個性や学習ペースを大切にする環境は、心の安全基地となり、新たな可能性を開く場所となるかもしれません。
一方で、学費や通学の問題、学習進度の管理など、現実的な課題もあることを忘れずに検討したいものです。
また、全日制高校を目指す場合は、フリースクール以外の選択肢も検討しつつ慎重にスクールを選ぶ必要があります。
フリースクールという選択が、皆さまの家族にとって、新しい一歩を踏み出すきっかけとなることを願っています。
- 特定非営利活動法人フリースクール全国ネットワーク『フリースクール白書2022(想像ではなく「数字」でみる)』学びリンク ↩︎
- 不登校新聞編集長 石井志昇『フリースクールを考えたら最初に読む本』主婦の友社 ↩︎